人はどんなに注意してもミスをしてしまうものです。これは本を執筆・出版する際も例外ではありません。
何度も何度も読み返したのに、肝心なところでミスをしてしまったという例は多々あります。
そのため、出版業界ではそうしたミスをなくすために、プロの校正者に原稿を見てもらうシステムを整えています。
文字起こしした原稿のミスを直す
最近はパソコンで文章を書く人が増えてきました。
とはいえ、まだまだ中には手書きでなければ文章が書けないという人もいます。
そういう場合は、原稿用紙などに書かれた文章を、パソコンを使って文字起こしをしなければなりません。
とはいえ、原稿の文字をミスなく起こすのは大変です。
文字の起こし間違いはもちろんのこと、文字起こしをする過程で誤字や脱字が生まれる可能性も否めません。
校正はこのようにしてできあがった原稿を、元の原稿と照らし合わせて写し間違いがないかを確認する仕事を担当しています。
辞書を片手に、文法や日本語が間違えていないかを確認する
国語学者でない限り、ほとんどの人は日本語をマスターしているわけではありません。
たとえば、「うろおぼえ」という言葉があります。
これを「うるおぼえ」と覚えている人は少なくありません。
このように、文章を書く際に起こりやすい日本語の間違いを正しくするのも校正の仕事です。
そのため、校正者は常に国語辞書を携えて校正を行います。
また、本の種類によっては歴史の知識なども必須になってくるでしょう。
たとえば、最近は鎌倉幕府の成立を1185年と教えることが多くなりましたが、かつては1192年と教えるのが多数派でした。
その頃の名残で、年配の方は鎌倉幕府の成立を1192年と書く人が多いです。
その際は、しっかりと説明をしたうえで、「近年は1185年とされている」と指摘しなくてはいけません。
さらに、指摘して修正されたデータが正しく修正されているか、定価表示などは正しいか? など、書籍の編集・制作作業の誤りを確認することも、校正の仕事の一つになります。
校正は何人で行う?
先ほど文章のミスは1人ではなかなか消しきれないという話をしました。
これは校正に関しても同様です。
1人だけで校正を行っても、やはりミスを見逃してしまう可能性は否めないでしょう。
そこで、校正を1度行った後、別の校正者によってもう1度行うなど、複数人で行うこともよくあります。
三人寄れば文殊の知恵、とは言いますが、人数を増やせば増やすほどミスは減りやすいです。
まとめ
●校正の役割は、「用字用語の誤りを正す」「事実関係の誤りを正す」「制作作業の誤りを正す」
●本が正確にできあがるためには、校正の仕事が欠かせません。