書籍を発行することを「出版」といいますが、ほかにも「初版」「重版」「絶版」などのように「版」という言葉がよく使われます。
ここではその意味や使われ方について、解説していきます。
目次
初版と重版
出版業界では、本が出版されたとき、最初に発行した分を初版(しょはん)と呼んでいます。
印刷で使用する「版」(インクをのせて紙に押し付ける板)からきている言葉です。
印刷機械
初版の部数は、数百部から数千、数万部までさまざまですが、よく売れて在庫が少なくなってきたり、
大きく売れそうな見込みが出たときに、また印刷して発行します。
これを「重版(じゅうはん)」と呼びます。(「増刷(ぞうさつ)」ともいいます)
書籍の帯やSNSなどの宣伝文句で、「たちまち重版!」というような言葉を見たことはありませんか?
これは発売してすぐに初版の部数では足りなくなり、重版を行いました(=よく売れている)という意味になります。
版の表記のしかた
こういった版の情報は、書籍の中にちゃんと記述されています。
どこに書かれているのかというと、奥付です(参考記事「書籍に必ずついている『奥付(おくづけ)』とは?」)。
書籍の内容に修正がなくそのまま重版された場合は、版が変わらず、「刷」の数を数え、下記のように記述されます(記述の仕方は出版社によって異なります)。
初版から内容の変更・修正がある場合は「版」が変わります。
近年は「版」を使わないデジタル印刷が増えたので、「版」と「刷」を区別して表記していない出版社もあります。
また、何度も版を重ねられている本はそれだけ売れ続けている本ということになります。
古典など古い名作の中には第10版、第100版と版を重ねているものもあります。
そのような本を見つけたら、奥付を見てみましょう。
絶版
絶版(ぜっぱん)は、その本の版がなくなり、もう二度と重版されないという状態です。
絶版本は基本的には入手が難しいですが、古い在庫を置いている書店や、古書店では見つかるかもしれません。
ただし、近年発行される書籍は、印刷用のデジタルデータがたいてい保存されています。そのため、売れる見込みがなくなって在庫が整理された書籍でも、また何かのきっかけで売れ始めた場合には重版が可能です。つまり近年の書籍では厳密な意味での絶版はほとんどありません。
まとめ
●「版」とは印刷に使う版が語源
●初版は最初に発行した分、重版はそれ以降に発行したもの
●版の情報は奥付に記載されている
●絶版とはもう重版されないと決められた書籍である